1970年生まれの私が、子どもの頃に深い感動と影響を受けた少女漫画があります。
それが、日本少女漫画の金字塔とも言える『キャンディキャンディ』です。
私が小学校に入学する少し前の1976年10月1日、TVアニメ版『キャンディキャンディ』の放送が始まりました。
主人公キャンディの「どんな困難にも明るく前向きに生き抜く姿」からは、「逆境に負けない強さ」や「自分らしさを大切にすること」の大切さを学んだと思います。
当時、私の家は父、母、弟、妹と私の5人家族。風呂なし2Kの社宅暮らしで、決して裕福とは言えませんでした。
父はギャンブル好きで飲み歩くことが多く、母とはよくお金のことでケンカをしていました。
そんな日常の中、私は子どもながらに「まわりの友達の家と違い、なんでうちの家はトタン屋根の狭くて古い家なんだろう。」と恥ずかしく感じていたのです。
その頃は、友達の家で誕生日会をするのが流行っていましたが、私の家では開いたことがありません。友達に家が狭くて古い事を知られるのも嫌でしたし、母は毎日へとへとになるまで働きながら家事と育児を担っていましたので、周囲の専業主婦のお母さんたちのように、家に招いた子供の友達に手料理をもてなす余裕などなかったのです。
そんな環境の中で、私にとって『キャンディキャンディ』はまさに「心の避難場所」でした。
テレビで観ていたアニメは、家に一台しかないテレビを父が野球で独占するようになってから観られなくなりました。
すると近所の年上のお姉さんが、漫画を貸してくれたのです。そこから私は、より深く『キャンディキャンディ』の世界に没頭していきました。
キャンディが愛したアンソニーの死には心から涙し、イライザの意地悪には怒り、そしてテリィと別れる原因になったスザナには言葉にできない苛立ちを覚えました。
まだ小学生だったけれど、キャンディの健気さや努力する姿は、当時の私にとって本当に大きな励ましでした。
そして何より、最終回で“丘の上の王子様”がアルバートさんだったと知った時の衝撃──。今でも思い出すたび、胸が高鳴ります。
大人になった今でも、ふとしたときに『キャンディキャンディ』のワンシーンや言葉を思い出します。人生の節目や、心が疲れた日。そんなとき、私を支えてくれるのがこの言葉です。
「キャンディ、運命は人からもらうものじゃない。自分の手できり開くものなんだよ」
年齢を重ねるごとに、この言葉の意味がより深く胸に響きます。
『キャンディキャンディ』は、ただの漫画ではなく、私の「人生の道しるべ」。
これからもきっと、何度も何度も読み返すことでしょう。
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