55歳になり、定年まであと5年。
そう聞くと、「その後どうするの?」とよく聞かれます。
でも実は、60歳以降の自分の暮らしのイメージが、まったくと言っていいほど浮かばないのです。
私はもともと、目標を決めたら計画を立てて実行していくタイプ。
若い頃から「自由に海外旅行がしたい」「海外に暮らしてみたい」と強く思っていて、それに向けて動いてきました。
20代後半、アパレルメーカーで販売の仕事をしながら、年に一度の海外旅行が何よりの楽しみ。
周りの友人たちが次々と結婚していく中で、独身でいることに多少の不安がなかったわけではないけれど、それよりも「私は自由に生きるんだ」という気持ちの方が勝っていたんです。
その頃から将来に向けた資産づくりの勉強を始め、副業で輸入販売をしてみたり、NISAでコツコツとインデックス投資を続けたり、試行錯誤を繰り返して現在に至ります。
その結果、今の金融資産は約2,000万円。
副業と投資を続けていけば、60歳の定年までには3,000万円を超えそうです。
さらに今の職場では、希望すれば65歳まで継続して働くこともできます。
人間関係も良く、特に不満はありません。
でも、ふと思ってしまったんです。
「この先も、同じ仕事、同じ毎日をあと10年続けるのか?」
そう考えると、なんとも言えない気持ちになってしまいました。
じゃあ、仕事を辞めたら何をしたいの? と自分に問いかけても、特に思い浮かばない。
かつての夢だった海外旅行も、今となっては金銭的なことや体力の不安もあり、ちょっとおっくうになってしまって。
あんなに行きたかったはずなのに。
若い頃の私が今の私を見たら、がっかりするかもしれません。
若い頃は「気力と体力はあるけど、お金も時間もない」
年を取ると「お金と時間はあるけど、気力と体力がない」
なんだか、悲しくなってしまいました。
そんな時、ドラマ『続々 最後から二番目の恋』の中で、啓子(森口博子さん)が定年を前に「会社、辞める」と宣言するシーンに出会いました。
思いがけないその言葉に、周囲が驚きながらも、「辞めてどうするの?」と聞くと、啓子はこんなふうに答えるんです。
「辞めるってことは決めた。辞めるって決めないと次のこと考えられないし、辞めてから次のことを、それから考えようかなって思ってる」
森口博子さんの演技が胸に沁みて、思わず泣いてしまいそうになりました。
そうか。
辞めると“決める”ことで、次のステップが見えてくるのかもしれない。
今すぐ何かを始めなくてもいい。
何をしたいかが明確じゃなくても、心が少しでも「もういいかな」と感じたなら、それはきっとひとつのサイン。
「よし、私も60歳の定年で仕事を辞めよう」
そう、あっさりと心の中で決めた月曜日の夜でした。
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