うまい話など無い(その1)

お金について

マルチ商法に引っかかった時の話

上京して2年後の20才の時、いわゆるマルチ商法にひっかかりました。
当時専門学校に通っていた私は、同じクラスの友人に「自分の好きな時間に働いてお金を稼げる仕事があるよ」と誘われ、彼女と一緒にそのビジネスの説明会に行くことになりました。
どんな仕事かを聞いたのですが、説明会に行けば解るから、ということで仕事内容は不明なまま当日の説明会に出席しました。
原宿駅から徒歩10分くらいのマンションの一室にその会場はありました。
受付をして入場すると60名ほどの人が集まっていました。私のように紹介者とペアで出席しているようでした。壇上である有名アパレルメーカーの社員だったという司会者が、このビジネスに出会い、月収100万円を稼げるようになって大成功した、という体験談を語り始めました。話の内容は、老後には1億円以上必要だが、普通の会社員の給料では生活するのに精一杯でとても足りない。一億円貯めるには別のビジネスをする必要がある。このビジネスは人との繋がりを生かした素晴らしいシステム。若い人からお年寄りまで熱意があれば誰でも成功する。このチャンスを逃したら絶対に後悔する。など、やたら煽ることを言うのですが、実際にどのような仕事なのかをはっきり明かしませんでした。
後半には24時間風呂やアルカリイオン製水器などのレクチャーが始まり、これは一体なんの説明会なのだ?と理解出来ぬままセミナーは終了しました。
その後、友人とカフェに行き、いわゆる勧誘が始まるのですが、友人が「このビジネスで成功した人を紹介したい。」というので待っていると、そこに現れたのは前年まで私たちの担任だった専門学校の先生でした。「え?○○先生?」彼は前年末にデザイン事務所を設立するということで専門学校の教師を退職していました。
全く知らない第三者が来ていたら警戒して入会しなかったのですが、信頼していた先生が現れたことで、なんだかよくわからないまま「一緒に成功しよう!」の一声で、仕事内容もよく理解せず、勢いで入会してしまったのです。
今なら、この話はおかしい、と解るのですが、当時の私は「先生や友人が言うのなら本当に素晴らしく人に貢献しながらお金を稼げる仕事なのかも」と思ってしまったのです。
結局のところ、当時社会的にも問題になり始めていたマルチ商法でした。
会員が新規会員を勧誘し、階層組織を形成・拡大する販売方法です。
簡単に言うと、自分が友人等を勧誘し、その友人が新規会員になり商品を購入すれば自分にマージンが入る。そしてその友人がさらに別の友人を勧誘し新規会員になり商品を購入すれば友人にも自分にもマージンが入ります。自分発の組織が大きくなればなるほどトップである自分が受け取る収益は大きくなる仕組みです。
私が入会してしまった組織は新規会員になる際に組織が販売している商品を何か一つ買い、それを人に勧めることで、人々の健康に貢献しながら自分もチームも豊かになっていく、というポリシーです。
一見素晴らしいことを言っているようですが、「商品&儲け話をセットにしたねずみ講です」厳密に言うとねずみ講は商品を扱わないのですが。
結果的に当時の私は上京してコツコツ貯めたお金もやっと出来た数少ない友人も全て失ってしまいます。勧誘した友人や元担任の先生を恨んでいるのではなく、あまりに無知だった自分に対して悔しいのです。
このような話は時代が変わっても手を変え品を替え、何度でも遭遇します。
大切なお金と仕事や人間関係を失わないために、このような話には重々注意してください。

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