最近、Amazonプライムでアニメ『ゴールデンカムイ』を観始めたのですが、これがもう、予想以上に面白くて、すっかりハマってしまいました!
現在(2025年6月時点)では第四期まで配信中。物語はまだ途中ですが、続きが気になってしまい、とうとう原作漫画を最終巻まで“大人買い”してしまいました。一気読みして思わず唸る。まさに、心を鷲掴みにされた作品です。
舞台は明治時代末期の北海道。主人公は「不死身の杉元」こと杉元佐一。日露戦争の帰還兵である彼が、アイヌの少女・アシリパと共に、莫大な金塊を巡って数々の勢力と対峙していくサバイバル冒険譚です。
魅力はなんといってもその“てんこ盛り”感。
アイヌ文化、北海道の自然、狩猟グルメ、謎解き要素、緊迫のバトル、そして不意打ちのギャグまで。あらゆる要素が絶妙に絡み合い、エンタメとしての完成度がとても高いのです。
登場キャラクターたちも実に個性的で、一癖も二癖もある人物ばかり。それぞれが自分の信念を持ち、物語に厚みを与えています。
そんな中で私が特に気になったのが、主人公・杉元の過去。彼が生き抜いた戦場「二百三高地」です。
この「二百三高地」は、1904〜1905年の日露戦争における旅順攻囲戦の最激戦地のひとつとして知られています。調べていくうちに、1980年に公開された映画『二百三高地』の存在を思い出し、久しぶりに観てみることにしました。
仲代達矢、丹波哲郎、三船敏郎、あおい輝彦など、昭和を代表する名優たちが集結した重厚な東映作品。公開当時はまだ小学生だった私は、正直あまり記憶がなかったのですが、今改めて観てみると、その深さと痛烈さに圧倒されました。
この映画は決して戦争を賛美するものではありません。中心人物である乃木希典(演:仲代達矢)は、司令官としての責任と、現場の悲惨さの狭間で苦悩し、自責の念に苦しむ姿が丁寧に描かれています。
多くの兵士の命を背負いながらも、作戦の是非や上層部の命令に翻弄され、孤独の中で葛藤し続ける姿に、「指導者とは何か」「勝利とは何か」といった問いが浮かび上がってきます。
なかでも心に残ったのが、乃木の妻を演じた野際陽子さんの存在です。登場シーンはわずか2回ながら、そのどちらも観る者の胸を打ちます。
最初の場面では、旅順攻防が長期化し、兵士たちの死が積み重なるなか、町の人々が怒りの矛先を乃木邸に向け、石を投げつけるという場面。
彼女自身、長男を戦地で失ったばかり。それでも涙を見せることなく、
「好きにさせてあげなさい。こんな家なんかかまいません。あの人たちも苦しいのです。」
と静かに語る姿には、哀しみを飲み込みながらも、他者の痛みを思いやる強さがにじみ出ており、観ていて胸が締めつけられました。
2回目は、ついに旅順を攻略し、町中が勝利に湧く場面。
しかしその勝利と引き換えに、次男までもが戦死してしまいます。
外から万歳三唱が響くなか、彼女は仏壇の前で、2人の息子の遺影に静かに手を合わせる――。
その姿は、戦争の残酷さと、母としての耐えがたい哀しみを象徴するようで、ただただ涙が止まりませんでした。
エンタメから学ぶ、歴史との出会い
こうして『ゴールデンカムイ』というエンタメ性に富んだアニメ作品をきっかけに、私はひとつの歴史の断片へと導かれ、昭和の名作映画『二百三高地』にたどり着きました。
漫画やアニメを楽しむうちに、その背景にある史実や時代の空気に興味を持ち、改めて調べたり、映像作品を通してその時代を“感じる”ことができたのは、思いがけず貴重な体験でした。
明治という遠い時代が、ほんの少し身近に感じられたような気がします。
たとえ入口はエンタメであっても、そこから「知る」「想像する」「感じる」ことは、今を生きる私たちにも大切な学びになるのだと、改めて実感しました。
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